魅惑的なバンドウイルカ

私が初めて生きたバンドウイルカを見たのは 70 年代初めのことでした。その頃はイギリスでイルカ水族館が急速に拡大していた時期でした。私は世界最古の水族館の 1 つであるブライトン水族館に行きました。イルカは大変人気があり、1968 年にイルカがやって来てから 1 年も経たないうちに、イルカ専用の新しい水槽と施設が作られました。イルカを見たとき、彼らがジャンプしたり芸をしたりするときの運動能力に驚きました。また、予想以上に大きかったです。彼らの甲高い声と知的な目は、私に忘れられない印象を残しました。私たち全員がイルカをとても面白いと感じたのも不思議ではありません。

バンドウイルカ。著作権 Jon Isaacs 2021

時が経つにつれ、人々はこのような知能の高い生き物をこのような閉鎖的な環境で飼育することの倫理性を再評価し始めました。ブライトンのイルカは野生で捕獲されたものであり、当時のトレーナーの声明から私が読んだところによると、生き物はよく世話されていたものの、飼育下のイルカが自然な生活を経験することは決してできないことは間違いありません。その結果、1990年までに、このような見世物に対する人々の欲求は減退し、多くの人々にとって動物福祉に対する懸念がそれに取って代わりました。政府はより高い基準を求める新しい法律を導入しましたが、イルカ水族館は経済的にそれを満たすことができず、閉鎖し始めました。ブライトンのミッシーとシルバーを含む3頭のイルカが「イントゥ・ザ・ブルー」プロジェクトの対象となりました。このプロジェクトでは、1991年9月に3頭をカリブ海に移送しました。そこで、3頭は海の囲いに入れられ、再び野生に戻る方法を学ばされました。最終的に、3頭は解放されました。数週間後、3頭目のイルカが痩せて病気になっているのが発見されました。治療を受けたにもかかわらず、死んでしまいました。ミッシーとシルバーの痕跡は見つかっておらず、彼らの運命は不明です。

時は流れて2015年。妻と私は1週間の休暇でポルトガルを訪れていました。美味しい食事、ワイン、文化に触れることが予定にありました。しかし、それよりももっと良かったのは、サド川河口で数日を過ごすことでした。そこは主に自然保護区で、ヨーロッパで3つしかない川に生息するバンドウイルカの群れのうちの1つが生息する場所です。1863年以来、この地域に生息する群れが記録されており、今では地元の人にも観光客にも人気があります。

海から飛び出す2頭のバンドウイルカ。写真著作権：ジョン・アイザックス 2021

セトゥーバルでの最初の朝、私たちはVertigem Azulのオフィスがある埠頭に向かいました。私たちは事前にツアーを予約し、オフィスに展示されていたイルカの群れの写真や家系図を見て楽しみました。群れの各メンバーは、背びれの形と模様で識別できました。私たちは桟橋に係留されていたボートに向かいました。乗組員や他の観光客と会った後、すぐに河口へと出発しました。

野生動物の写真を撮るとき、たいていの場合、成功率は低い。私たちが河口の砂州に向かって進むと、天気は霧がかかっていた。そこではイルカがタコやイカ、さまざまな魚を狩ることが多い。私たちは、現在 25 頭いる群れを 1 頭も見つけることができなかった。イルカたちがもっと深いところ、大西洋まで移動した可能性は十分にある。私たちは河口の他の場所に移動したが、やはり成果はなかった。桟橋に戻る途中、小さな漁船が港に戻るのが見えた。その後ろには、波に乗ってサーフィンをしていた 3 頭のイルカがいた。遠くからではあったが、この旅は部分的には成功したと言える。

タンカーの前でジャンプする2頭のバンドウイルカ。写真著作権：ジョン・アイザックス 2021

翌日の午後、私たちは最後の試みとして美しい新しい双胴船に戻りました。これは素晴らしいことでした。双胴船に用意されたプラットフォームは、普通の船よりも写真家にとってはるかに安定しているからです。天気は暖かくて明るかったです。私たちは航路に近い河口に沿った別のルートを取りました。案の定、港に向かっている巨大なタンカーの前を船首で走る 2 頭のイルカをすぐに見つけました。波を突き抜けて空中に飛び上がる彼らの高さは印象的で、彼らは明らかに楽しんでいました。その後、私たちは子イルカを含む 7 頭の群れを捕らえました。彼らは遊んだり、狩りをしたり、複雑な体操やバレエの動きを披露したりしており、ペアまたは大きなグループで動きを調整していることがよくありました。彼らがいつ水面に浮かび上がるか分からず、近くに近づくことも許されていなかったため、彼らの写真を撮るのは非常に困難でした。私たちは約 15 分間群れと一緒にいましたが、その後彼らを見失い、港に戻りました。

2021年の現在、この群れはスコットランドとアイルランドの海域にある他の2つの群れよりはるかに小さいものの、当初は約30頭存在していました。船の騒音公害、水質汚染、生息地の一部の破壊、繁殖の失敗などにより、この群れは絶滅の危機に瀕しています。2020年1月、河口の一部で浚渫が行われ、5頭のイルカが死亡しました。国会議員は浚渫の中止を要求しましたが、地元住民は、保護の観点からだけでなく、イルカがこの地域に多くの観光客を引き寄せていたため、激怒しました。この問題が解決され、佐渡河口のバンドウイルカが今後何十年も見られるようになることを願っています。

漁船を追うイルカ。写真著作権：ジョン・アイザックス 2021